「妖怪三味の毎日が受験の動機」

こんなうってつけの検定試験は他にはないと、その時思った。
なぜなら当時の私は、息子と妖怪三味の毎日を送っていたからだ。

今では毎年恒例となった境港妖怪検定。
名前の知らない妖怪が載っていると、息子のために持って帰ってきたチラシには、「妖怪博士になりましょう」と書かれていた。
受験申込をするのに時間はかからなかった。

水木しげるロードで妖怪と出会ってから、すっかり妖怪の虜になってしまった。
当時、2歳の息子との時間は、妖怪なしでは語れない。
水木しげるロードはもちろん、水木しげる記念館や鬼太郎列車の見える駅に足しげく通う日々。

図書館から借りるのは、絵本ではなく妖怪に関する本ばかり。
絵本の読み聞かせならぬ、妖怪本の読み聞かせの日々だった。

当然、日常生活にも常に登場。例えば、お風呂からいつまでもあがらない時には、「あかなめが舐めにやってくるよ~」という具合。
これがまた、実に効果的。妖怪がとても身近な存在に感じられた。

ここまで息子を夢中にさせる妖怪の魅力って…。
そう思っていた自分も、気がつけば、妖怪にどっぷりはまっていたのだった。

つい先日も、子ども達と水木しげるロードヘ。
抱きあげなければ、撫でることができなかった妖怪ブロンズ像に、すっかり手が届くようになった息子とは対照的に、いつまでも変わらぬ姿で残り続ける妖怪達。

覚えた名前で声をかけると、答えてくれたような気がして、幸せな気持ちになった。

妖怪検定中級テキストを手にする森脇陽子さん 「日本妖怪大全」講談社 水木しげる