妖怪文化に爪痕を残したい
「妖怪」は、自分の人生において結構な領域を占めてきたものです。
物心ついて初めて触れたのは、やはり水木しげる先生の描いた妖怪たちであったと思います。その後、アニメの鬼太郎のみならず様々な漫画やゲームなどに登場する妖怪たちに心躍らせ、というあたりまでは多くの人と共通するところではないでしょうか。
ただ、高校時代に柳田國男や小松和彦の著作との出会いを経た私は、とうとう大学の卒論を地元の妖怪伝承をテーマに書いたところまで行き着いてしまいました。
しかし、その後も妖怪研究にひたすら情熱を注ぐ、というような生き方に行かなかったのが私の限界でしょう。時折、妖怪関連の書物などに触れたり、軽く妖怪を題材にした漫画を描いたりしていた程度の「妖怪人生」でした。
そんな私の転機になったのが、数年前に腸炎で一週間ほど寝込んだ経験です。
特に重病ではなかったものの、「人間いつかは死ぬ。生きているうちにやりたいことをどんどんやらねば」という欲が出てきて、その勢いでの妖怪検定受験なのでした。
第15回の中級に続いて第16回開催での上級も一発合格。更に調布・境港の観光も良い思い出となり、自分の選択とやる気、そして成果に我ながら「よくやった!」と褒めたいくらいです。
今後も自分なりに妖怪と付き合っていく人生を送っていくつもりです。大きな目標の一つに「自分の考えた妖怪を多くの人に認知してもらう」というものがあります。
偉大な先達や現在活躍中の猛者には及ばないかもしれませんが、何かしらの爪痕を妖怪文化に残せたら幸いです。
鎧沢さんが描いたオリジナルの妖怪たち。昨年、真光書店(調布市)で行われた。「妖怪の絵を描くコーナー」でも一体描いている