「大人になってから妖怪ファンに」
「境港妖怪検定を受けた」というと、幼い頃から妖怪好きだったと思われることが多いが、正しくは「妖怪好きになり損ねた」のである。
妖怪図鑑の類いを持っていなかったので、読む機会がほとんどなかった。
しかし、当時たまたま本屋で見た1ページを未だ鮮明に覚えているほどなので、妖怪への憧憬は相当のものだったのだろうが…。
だから、初めて水木しげる先生の妖怪の本をじっくり読んだのは30代になってから。
だが、そこからは早かった。
本を手にした数力月後には、妖怪検定中級を受験。勢いに乗って上級にも挑戦した。
こうして瞬く間に妖怪の世界へ―。ですから、皆さん、妖怪にハマるのに遅すぎるということはありませんよ。
妖怪好きにも色々なジャンルがあると思うのだが、私は物語の中の妖怪ではなく、江戸時代の妖怪目撃談が好きだ。
「何これ!変な生き物!」という、見た人の荒い鼻息が伝わってくるような記事は、たまらなく面白い。
当時の人々が本気で人魚や雷獣だと思っているところにロマンを感じる。たとえそれが深海魚やハクビシンだったとしても。
米子の海でも江戸時代に「ぬるぬる坊主」というのが目撃されている。
胴まわり2尺、杭のような形、体はぬるぬるしているらしいのだが、その正体は今も謎のままである。
米子に行く途中に海が見えたら、この妖怪の正体に思いをはせてみるのもいいのではないだろうか。
築谷理絵さん自作のイラスト